2009年6月30日火曜日

005 踊りの見かた


バリ島の踊りは有名である。“バロンダンス”“レゴンダンス”“クリスダンス”“ケチャックダンス”“ジョゲブンブン”などいろいろなジャンルがあって、毎晩どこかで公演しているので、細かいことをいわなければいつでも鑑賞できる。
場所は、お寺や宮殿の前庭か集会所などが多い。ウブドゥの中心には常設の小屋が何ヶ所かある。曜日によって場所、ジャンル、出演団体が異なる。

もっとも感動するのは、これらの観光用のステージではなく、村のお祭りなどで上演されるバロンダンスやワヤン・クリッ(影絵芝居)だ。決まったお祭りだけでなく、結婚式とかなにかの祝い事にあわせてケチャックダンスなどに遭遇することもある。神楽を見るのに体育館で見るよりも八幡さんで見るほうが本物だ、と感じるのに通じる。入場料がいらないせいだけではない。

どこかの村でお祭りがあると聞いたら、ぜひ行ってみることをお奨めする。外国人や異教徒がまじっていても、それなりにお行儀よくしていれば誰も文句はいわない。そこで見るバロンやランダは、本当にこちらの血を沸騰させてくれる。


観光用でも、はっと息を呑むようなシチュエイションが用意されたものもある。ウブドゥではじめてジェゴッグ(竹のガムラン)楽団が編成されたというので行ってみたら、蓮池の向こう岸にあるお寺の割れ門(チャンディ・ブンタル)の前の広場でやっていた。真っ暗な中で、その広場だけが松明で浮かび上がっている。蓮池の中の道を通って近づくと、たかだか20~30メートルのことなのに、そこは別世界だった。こういうのはよい。

バリの友人の家が砂浜に面したところにあって、ジョゲブンブンをやるから来ない?と誘われた。テラスは砂浜にせり出すようにある。そこに座って、ビールを飲みながらインド洋に日が沈むのを眺めていたら、ジェゴッグの楽団がやってきて準備を始めた。2本の竹を砂に突き立てて、その間に2枚のバティックをかける。これが緞帳。演奏が始まると、そのカーテンをめくって踊り子が次々に登場し、ロウソクの灯りの中で、砂の上に妖艶な舞を繰り広げてくれた。こういうのも、よい。

観光用のステージでは、よい席に座ることが望ましい。指定席はないので、早い者勝ちである。したがって、よい席を確保するコツは簡単である。

(1)まず、ダンスの始まる1時間程前に会場に行く。たぶん、受付はしているが、客はひとりも来ていない。
(2)受付の人に、「一番良い席はどこであるか?」と尋ねる。あるいは自分で判断してもよい。
(3)その席に、「RESERVED」などと書いた紙を置いておく。または、ハンカチなどでもよいが、くれぐれも高価なものは置かないように。
(4)一度外へ出てひまつぶし。「じゃあね」という雰囲気でにこっと目配せして出れば、受付は何も言わない。
(5)定刻直前に戻る。「ありがとうね」という雰囲気でまたにこっと目配せして入れば、受付は何も言わない。何か言えば半券を見せればよい。
(6)所定の席に着く。確実に空いているはず。

開演時間に遅れない方がよいことは、いうまでもない。一番良い席を空けたまま遅れて入ると、おそらく白い眼で見られる、と思う。結構定刻に始まる。遅れても10分程度。

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