2009年8月24日月曜日

030 電力事情


バリの電力は220ボルトで供給される。ただし、これは公称で、定格電圧が出ることは滅多にないらしい。現地の事情通の話によると、夕方の電力需要が大きい時には170ボルトまで下がることがあるらしい。
ついでに言うと、電力需要の多くは、各戸にほんの数個ずつついている10ワットか20ワットの電球である。これが夕方に一斉に点灯されて、大きな送電ロスを生む。

電圧変動は、別にテスターでモニターしなくても、電球の明るさで体感できる。
アピアピのテラスの壁面につけられたほのかな照明灯が、ふうっと暗くなったり、ふうっと明るくなったりする。
といって、別に困るほどのことではない。もともと電灯をつけたって、それほど明るいわけではなく、本を読むにはさらにランプを灯さなくてはならないのである。

困るのは、停電だ。大ざっぱな印象では、1日数回は停電になる。大抵は数分間、長くても1時間程度で復旧する。

運悪く、滞在中にまる3日間も停電したことがあった。1日2日は困らない。しかし、3日となると差し障りが出る。高置水槽の水がなくなってしまうのである。
ポンプが回らなくては井戸から水を揚げられない。料理は、ミネラルウォーターを使えばなんとかなるが、シャワーやトイレが使えない。

管理人のマデが嬉しそうに

「こうなったら、マンディ場に行くしかない」

という。マンディは、いわゆる沐浴のことで、村には何カ所かそのための場所が設けられている。
ただし、谷に下りて行くための階段がある程度で、囲いや水槽があるわけではない。素っ裸で岩を伝って、シルトやその他もろもろの混じった流水に身を浸すのである。
マンディできるようになれば、バリ通も一人前だと言われている。私が降りていくと、先にマンディしていた村の青年や娘たちが大喜びで

「ナミさん、バリニーズ(バリ人)!」

と、はやし立てた。ちょっと嬉しい気分。

印象的だったのは、アピアピが長期停電で大騒ぎしているのに、村の連中は全く平常だったことだ。何で停電が困るのか、という顔をしている。

電力がこんな調子なので、これではコンピュータを使うのにも不便だろうと思って、後日、強力な定電圧装置付き電圧変換機と無停電電源を秋葉原で購入して据え付けた。しかし、使わないままコケむしている。

バリでは、ちっとも困らないのである。


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